ディーラーでの研修及び報告のプレゼンを終えオーストラリア滞在も残りわずか二日間となりました。ディーラー研修ではマニュアルはただの道筋で、仕組みを知っていれば時間を節約できる方法を編み出す事もできると教わりました。
この研修で得た整備経験や教わった事のメモ・写真等は自分にとって大きな財産であると思いますし、このままで終わらせずにもっと積み重ねて大きな強みにしたいと思います。
イースタンホンダワークショップです。 私は6番ホイストを使わせてもらっていました。 |
今月はワークメイトがインサイトハイブリッドのピストン交換をしていたので、自分の仕事の合間に手伝わせてもらいました。あまり写真は撮れていないのですがいくつか大事な事をまとめていきます。
ハイブリッド車にはモーターを駆動させるための高電圧バッテリーが搭載されています。
エンジン整備の際は必ずスイッチをoffにします。これをせずに整備をしたら死んでしまいます。
インサイトの場合ブーツにスイッチがあります |
手の辺りに駆動用モータ(オレンジ色のコイル)が見えると思います。 |
スイッチを切らずにこのコイルに触れたらアウトと教わりました。
コンロッドベアリング 方向性があります |
写真を大きくして見ると分かると思いますが、コンロッドの断面図がギザギザしています。 これは元々1つのパーツだった物をかち割って作った為です。分解して適当に置いたらどれも同じにしか見えなくなりますがピッタリと組める組み合わせは世界で1つだけなので混ざらないように番号を振って並べておきます。
取り出したピストン とても汚くかなり傷ついています |
ピストンピンを圧入するための機材がディーラーには無かった為オーストラリアホンダで新しいピストンに変えてもらいました。
組み込む前にピストンリングの位置を説明の用に合わせます。
ピストンリングの合口(輪っかの切れ目の部分)を同じ場所に合わせてしまうと隙間が通路となってオイル上がりの原因になります。
ピストン組み込み |
ピストンを組む前にシリンダーにオイルを薄く塗ります。
ピストンリングコンプレッサーがV6エンジン用しかなかったみたいで、キツく締めても楕円状に縮まってしまいかなり時間がかかりました。
新しいピストン組み込み後 |
ピストンにも方向性があります。インテーク側エキゾースト側のバルブリセスの大きさの違い、オフセット方向、オイル散布方向等、反対に組むと大惨事です。間違えないように矢印が書いてあります。
タンクからはドロドロしたものが大量に出てきました。
スラストベアリング |
コンロッドベアリングだけでなくクランクシャフトの軸方向の力を受ける為のスラストベアリングも組むときに落ちたりしていないか確認します。
ボルトを締める時は内側から外側へ対角線に締めます。服のシワを外に逃がすイメージです。 |
液体ガスケットはできるだけ切れ目の無い1本線で少なすぎず多すぎず塗布します。 |
液体ガスケット、ペーパーガスケット、メタルガスケット等忘れずに交換します。つけ忘れは厳禁です。
ピストン交換については以上です。
最後にウォッシャーについて少し書きます。
ウォッシャー液が上の方まで届いていません。 |
写真はカスタマーコンプレインでウォッシャーを調べてほしいと依頼が来たときの物です。
ウォッシャー液が飛ばない原因は大きく分けると3つです。
1:ホース等からの液漏れ
2:ノズルの問題
3:タンク側の問題
まず1ですが、これは目で水が垂れてこないかを見れば分かります。
青:ウォッシャー液の流れる方向 赤ホース接合部 |
2はノズルに針を刺したりホース接合部からエアを送ることで詰まりを解消できる場合が多いです。
次に3ですが、ポンプの故障かフィルターの詰まりが考えられます。
ポンプはホース接合部から出でくる水圧を確認します。今回はお客様が自分で取り替えたばかりだそうで問題ありませんでした。
最後にフィルターを確認してみた所・・・
取り出したフィルター |
汚れで殆ど塞がってしまっています。
タンクからはドロドロしたものが大量に出てきました。
フィルターの穴は小さく、苔等で簡単に詰まってしまうそうです。
フィルターを少し割る事で詰まるのは防ぐ事ができると教えてもらいました。ただポンプに悪影響が出る可能性があるのでコストが掛かってもフィルター交換とタンク洗浄の方が良いと私は思います。
それでは、オーストラリア研修整備編はここまでにします。
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