2019年4月9日火曜日

Training in Australia Ⅰ

メルボルンシティの風景
お久しぶりです、Shuです。
早いものでオーストラリアに辿り着いてから3週間程経過しました。

こちらの気候は朝は少し肌寒く、午後5時頃が一番体感気温が高く、薄い長袖シャツ1枚で過ごせる位暖かくなる事が多いです。









現在の日常ですが、平日は午前中に語学学校で英語を学び、午後はオーストラリアホンダで研修をしています。


オーストラリアホンダでの研修

私はこの3週間でサービス(定期点検)、ストラット交換、トランスミッション交換(作業途中)、E-Learning(ノートパソコンを使った座学)をしました。

今回は作業に携わる機会が少ないと思われるCR-Vのトランスミッション交換と周辺部品に注目して書いていこうと思います。

今回使用している車はトルクコンバータ付きのオートマチック車です
図のようにトランスミッションはエンジンからの回転運動をトルクコンバータを介して受け取り、状況に応じて変速を行うための物です。

これを交換するためには
・外すためのスペース作り
・周辺部品を外しトランスミッションをフリーにする
・エンジンを吊り上げる機構を取り付ける
・エンジンとトランスミッションを切り離す
といった事が必要になります。


作業は基本的に電子マニュアルを見て行います。


エアクリーナを外しゴミの混入防止のためキャップを付けます

他にバッテリー及びバッテリープレートやハーネス等も外します。

ATFウォーマーをトランスミッションから外します


ATFウォーマーについて

ATFとは・・・オートマチックトランスミッションフルードの略です

トルクコンバータ内の液体、トランスミッションのギヤの潤滑、冷却、清浄
そして油圧機構の作動油としての役割があります。

そしてATFウォーマーは主にトルクコンバータに関わる機構です。

トルクコンバータについて

一言でいうとエンジンの動力をトランスミッションに伝達する機構です。

トルクコンバータ内はATFで満たされています。


トルクコンバータ 図1
トルクコンバータ 図2
トルクコンバータはエンジンのドライブプレートという円盤に取付けられ、エンジンと共に回転します。

トルクコンバータ内にはエンジンの動力で回転するプロペラ(ポンプ)とトランスミッションのシャフトが付いているプロペラ(タービン)があります。

エンジンの回転によりポンプが回転し発生した流体エネルギーがタービンを同じ回転方向へ回そうとします。
この動きによってエンジンからの動力がトランスミッションへ伝わります。

トルクコンバータは半クラッチの様な事をしなくても発進が出来るというメリットがありますが、いつまでも液体で間接的に動力を伝えていては伝達効率が悪いのです。

そこでポンプとタービンの速度差がある程度に達すると、図1のロックアップクラッチによってエンジンとトランスミッションを物理的に繋ぐ事で動力をダイレクトに伝えるという事をしています。

ATFウォーマーの役割

ATFは潤滑等の役割もあるため、ある程度の粘度があるオイルが使われています。
そして粘度は温度によって変化し、温かいと柔らかくなります。
ATFが固いとその分トルクコンバータ内の抵抗は上がり、必然的にエンジンは燃料を多く消費しなければなりません。
そこでエンジンを冷やしているクーラントの熱をATFに交換することで、ATFを早く柔らかくし、フリクションを少なくして燃費を良くする事が目的です。
これは推測ですが、燃費を良くすると言うことは走った距離分の排気ガスも少なくなるため環境対策のためという側面もあるのではないかと思いました。

説明が長くなりましたが作業の続きを書いていきます。

車速センサ、キャリパ ストラットボルト、スタビリンク等を外し
ドライブシャフトを外します

ブレーキディスクを外した時にドライブシャフトを適当に下ろすと伸び切ってしまい分解して組み立てる必要があるためこの様に固定します。








ドライブシャフトを外している瞬間

両側のドライブシャフトを外したらハーフシャフトを外します。










外したハーフシャフト





















ATFを抜くためにオイルドレンボルトを外します。






























前側プロペラシャフトを外しますが共回りするため

写真の様に押さえておく必要があります。
そしてプロペラシャフトはバランスが重要なため外す前に取り付け位置にマークを付けて同じ状態に戻せるようにしておく必要があります。
リヤ側プロペラシャフト 固定の図



トランスファーを外しま。
この機構は4輪駆動車に見られる物で、エンジンの動力をドライブシャフトを介して前後輪に伝えるための機構です。


トルクコンバータ
ドライブプレートとトルクコンバータカバーを止めているボルトを外していきます。
学校での授業では単品での分解でしたが、実際に組み上がっている状態からの作業ではトルクコンバータを回転させてボルトを見えるところまで移動させる必要があり、勉強と実践の違いを思い知りました。

ボルトを外すために回転させている所

















エンジンマウントを外す前にエンジンを吊り上げるためのSSTを取り付けます。












長さが不十分であったためエクステンションパーツを取り付け
















トルクロッドマウンティングボルト










下の方でエンジンを支えているボルトを外します















上の方からエンジンを支えているボルト類は最後に外します。
こちらを先に外してしまうと、エンジンを吊り上げているのが小さなプレートだけの状態で下にあるエンジンを固定しているボルトを外さなくてはいけなくなりとても危険だからです。
電子マニュアルではかなり前半に右の写真のように外すように書かれていたため外しましたが、トレーナーのデニスさんにマニュアルはあくまで1つの方法であるため、何を先にやる必要があるかは自分で考えなくてはならないと教えてくださいました。



残りの作業はフロントフレームを外したらミッションを完全にエンジンから切り離してから交換、組付けです。



最後に少しだけ語学学校についてお話します。

月曜日と火曜日は主に文法の勉強をしています。
水曜日から金曜日は2人組になり学んだ文法を活用できるようなQ&Aをしたり、チームで早押しクイズをしたりしています。

その他にも会話に適した話題や質問をし答えてもらえた場合のリアクション、コメントをする重要性なども学びました。
日本人以外の人とは英語しか共通のコミュニケーションツールが無いため、Q&A等で分からない単語があったりすると別の言い方をしてみたり翻訳アプリを使うなどしてとにかく伝えようと必死になっています。


こちらに来てから英語を話す事が日常になってきましたが、中学生で習うような文法でも、いざ会話となると間違えてしまうことが多々ありました。


文法を知っていても自分で伝えたい言葉を考えて正しい文法を使い文章を作る事を何度も繰り返さなければスピーキング能力は伸びないのだと思いました。

語学学校のクラスメイト





















今回は以上です。
次回はオーストラリアでの私生活についても書きたいと思います。